【テナント・不動産必読】店舗のガス容量が足りない!100万の追加工事を防ぐ予防策

こんにちは土井(@takeshidoi73)です。
先日、大阪の難波方面でガス工事の相談がありましたが、大きなトラブルがありました。
なんと、ガスの配管が細すぎて希望の厨房機器が取り付けられないという事態です。

正直いって、なんでここで飲食店をするんだろうかというレベルの問題でした。
そのため、最終的には自己責任になる物件ではありますが、ガスのトラブルが起きそうな場合は僕たちは基本的に大阪ガスさんに依頼して協議と打ち合わせを行います。

その結果、配管を本管からやりかえる必要がで出てきたり、結果的に助かる場合など様々なケースが考えられますが、基本的には配管を本管からやりかえるとなると、これだけで60万から100万円ほどの費用が発生する可能性があります。

もちろん、全面道路の状況や内容にもよりますが、この場合は室内のガス工事も大阪ガスさんの下請け業者が行うことになるので、担当している工務店が指示しながら打ち合わせするケースがほとんどです。

今回、大阪で飲食店向けの店舗物件を多数取り扱ってきた不動産会社の視点から、出店を目指すテナント様や物件を管理する事業者様に向けて、現場で特にトラブルになりやすいガス配管の容量不足について詳しく解説します。

店舗の賃貸借契約を終え、いざ内装工事や厨房機器の搬入段階になってから「希望する火力が確保できない」「機器が作動しない」といった問題が発発覚するケースは後を絶ちません。

特に歴史のある繁華街や古い建物が多く残る大阪の主要エリアでは、目に見えないインフラ設備の制限が開店計画を大きく揺るがす原因となります。こうした重大なリスクを事前に回避し、スムーズな開業を迎えるための専門知識と実践的なノウハウをお伝えします。

目次

大阪の店舗物件で頻発するガス容量不足の構造的理由

大阪市内をはじめとする主要都市部で店舗物件を探す際、駅からの距離や賃料、坪数といった表面的な条件だけに目を奪われがちですが、目に見えないインフラ設備の確認はそれ以上に重要です。
その代表例がガスの配管容量不足です。

飲食店をオープンする際、重飲食と呼ばれるラーメン店、居酒屋、中華料理店、鉄板焼き店などは、大量の熱量を必要とする高火力な厨房機器を導入します。しかし、入居する物件のガス配管サイズが細かったり、建物全体の供給能力が低かったりすると、設置したい機器の総消費量に対して供給が追いつかないという事態が発生します。

特に大阪の老舗街や路地裏にある魅力的な古民家・築古ビルでは、もともと物販店や事務所、あるいは軽飲食を想定して作られていることが多く、ガス管の径が小口径(15Aや20Aなど)のままになっているケースが目立ちます。
ここに大型のフライヤーやコンロ、業務用のオーブンを並べようとしても、物理的にガスが足りず機器が作動しない、あるいは火力が上がらないというトラブルを引き起こすことになります。

大阪の主要エリアごとの傾向を見ていくと、北区の梅田周辺や中央区の難波、心斎橋、道頓堀といった繁華街では、築年数が経っている雑居ビルが数多く存在します。

これらのビルは過去に何度もテナントが入れ替わっており、用途変更が繰り返された結果、配管経路が複雑化していたり、メーター周辺の設備だけが古いま残されていたりすることがあります。
また、西区の堀江や北区の天満といったエリアで人気のある路面型の古民家改修物件などでは、もともと住宅用の低いガス容量しか引き込まれていないケースが非常多いため、より一層の注意が必要です。

特にやばいのは倉庫利用だった箇所が重飲食可として入居者を希望しているケースです。
この場合、配管が細いため容量不足になるケースがほとんどです。

さらに、大阪市内の商店街などでは、前面道路が私道であったり、道路下に埋設されているガス本管からの引き込み距離が長かったりするため、後から配管を太く増設しようとしても道路掘削の許可取りや近隣同意に膨大な時間がかかる傾向があります。

こうした地域的な特性を理解せずに契約を進めてしまうことが、容量不足によるトラブルを引き起こす最大の要因となっています。

実際にあった失敗劇!契約後に発覚したガス不足の恐怖

ここで、私たちが実際に相談を受けた、あるテナント様のエピソードをご紹介します。

大阪市内の人気エリアで、中華居酒屋の開業を計画していたAさんのお話です。Aさんは希望通りの立地と予算に合う物件を見つけ、元がカフェだった居抜き店舗を契約しました。「カフェが入っていたのだから、飲食店としての設備は整っているだろう」と思い込み、事前のガス容量調査を十分に行わずに内装工事へと進んでしまったのです。

事件が起きたのは、厨房機器の搬入と試運転の段階でした。強力な中華コンロと業務用フライヤー、マルゼンのガステーブルを設置し、いざ着火しようとしたところ、火力が弱すぎて使いものにならないどころか、複数の機器を同時に使うと安全装置が作動してガスが止まってしまう事態が発生しました。

慌てて都市ガス会社と設備業者に調査を依頼したところ、引き込まれているガス管の径が20Aと細く、Aさんが導入した厨房機器の最大消費量の半分程度しかカバーできていないことが判明しました。
僕たちも初めて見に来た時はなんでこんなことしてるねんと正直驚きましたね。

ガス管を太いサイズ(25A以上)に引き直す本管工事が必要となりましたが、道路の掘削許可の取得や建物の共有部を通す工事に100万円以上の追加費用がかかることがわかりました。

もし、このトラブルが発生した場合、僕たち工務店が設備図面を設計しなおし、大阪ガスと協議して解体が必要なら解体し、打ち合わせが必須です。

そして、さらに工事完了まで約3ヶ月を要するため、予定していたオープン日は大幅に延期となり、その間も毎月の賃料が発生し続けるという深刻な事態に陥ってしまうのがほとんどです。
最終的にAさんは機器の一部を電気式に変更するなどメニューの変更を余儀なくされ、計画を大幅に縮小した状態での苦しい再スタートを切ることになりました。

都市ガスとプロパンガスの違いとメーター号数の算出方法

ガス容量のトラブルを回避するためには、店舗で使われるガスの基礎知識と、自店に必要な容量の計算方法を理解しておく必要がありますが、一般のお客さんには難しい話になります。
それも踏まえて説明すると、基本的にガスには大きく分けて都市ガス(13Aなど)とプロパンガス(LPG)の2種類が存在します。

大阪市内などの都市部では都市ガスが主流ですが、郊外や一部の沿線エリアではプロパンガスが使われている場合もあります。
両者は発熱量(カロリー)が異なるため、使用する厨房機器もそれぞれ専用の仕様を選ぶ必要があります。間違えた機器を接続すると、不完全燃焼や故障、火災の原因となりますが、基本的にプロパンを使用するにしてもオーナーの許可が出ないと許可が出ない他、大阪市内などでは多くの場合中心街ではプロパンガスは認められません。

そして、都市ガスにおいて容量の基準となるのが、ガスメーターの号数と引き込み管の口径サイズです。
メーターには10号、16号、24号といった種類があり、この数字は1時間に流せるガスの立方メートル数を表しています。一般的な家庭や小規模な事務所では4号から6号程度ですが、高火力を使う飲食店厨房では16号や24号、大型店舗ではそれ以上のサイズや複数メーターの設置が必要となります。

自店に必要なガス容量を把握するためには、設置予定のすべての厨房機器のガス消費量を合算する作業が必要です。取扱説明書やカタログに記載されている消費量(kWまたはkcal/h)を確認し、それらを合計します。

都市ガスの場合、1立方メートルあたりの発熱量を約45メガジュール(10700キロカロリー)として計算します。例えば、中華コンロ(約15kW)、業務用フライヤー(約12kW)、給湯器(約24kW)を同時に使用する場合、合計消費量は51kWとなります。これをガスメーターの必要号数に換算すると、およそ16号から24号クラスのメーターが必要になるという計算が立ちます。

ここで重要なのは、メーターの交換だけで容量を増やせる場合と、建物に引き込まれている配管そのものを太く交換しなければならない場合がある点です。
配管の口径には15A、20A、25A、32A、40Aなどの規格があり、配管が細いままメーターだけを大きくしても、ガス圧が低下して十分な火力が得られません。メーター交換だけで済むなら費用は数万円程度で済みますが、引き込み管の取り替えとなると道路掘削工事が伴うため、費用は数十万から数百万単位に跳ね上がります。

契約前に必ず行うべき現地調査と専門家によるチェックリスト

このような配管容量トラブルを未然に防ぐためには、賃貸借契約を締結する前の現地調査がすべてを握っています。
不動産会社が提示する物件概要書に「ガスあり」と記載されていても、それが「自分の店舗が求める火力に対応できる」という意味ではないことを肝に銘じる必要があります。

契約前に実行すべき具体的なチェック手順は以下の通りです。

  1. 導入予定の厨房機器リストを作成し、全機器の最大ガス消費量(kWまたはkcal/h)を算出する
  2. 設計士、内装施工業者や工務店、厨房機器の専門担当者とともに物件の現地調査を行う
  3. 既存のガスメーターに記載されている号数と、メーター前後の配管口径(ミリ数)を目視で確認する
  4. 管轄のガス会社(大阪エリアであれば大阪ガス等)の窓口に物件住所とメーター番号を伝え、供給可能容量の照会を行う
  5. 居抜き物件の場合は前のテナントの業態だけでなく、実際に使っていた厨房機器の構成を詳しくヒアリングする

まあ、正直図面や仕様書もいるので店舗に強い工務店や設計事務所に任せるのがいいと思います。

特に居抜き物件の落とし穴として注意したいのが、前テナントが「ガスを使っていた」としても、それがカフェやバー、サンドイッチ店などの軽飲食であったケースです。

前テナントが小型の湯沸かし器と1口コンロしか使っていなかった場合、配管は15Aなどの最小サイズになっている可能性が高く、ラーメン店や中華料理店の機器を持ち込めば即座に容量オーバーとなります。

また、現地調査ではメーターの位置だけでなく、道路から敷地内への引き込みルート、建物内のパイプスペースのゆとり、他階のテナントとの兼ね合いも確認しなければなりません。

僕たちのような工務店や専門家を同行させ、物理的な改修工事が可能かどうか、その場合の概算費用と工期がどのくらいになるかを契約前に見積もっておくことが、致命的な失敗を防ぐ唯一の方法です。

大阪エリアで店舗物件を探す際のリスク回避策と契約の実務

大阪の繁華街や商店街にある物件は、隣接する建物との隙間が狭かったり、前面道路の権利関係が複雑であったりするケースが多く見られます。これがガス増設工事を行う際の大きな障壁となることがあります。

例えば、ガス管の増設工事を行おうとした際、前面道路が私道であれば道路の所有者全員から掘削許可の承承諾書と印鑑証明を取得しなければ工事ができません。

所有者が複数人に上る場合や、遠方に住んでいる場合、あるいは過去の経緯から同意を拒否されるケースもあり、許可が得られなければどれだけ資金があっても工事はストップしてしまいます。また、雑居ビル内の共有部分を通す工事が必要な場合、ビル全体のオーナーや他のテナントからの同意が必要となります。

こうしたリスクを考慮し、賃貸借契約を結ぶ際には実務上、以下のような特約や事前確認を盛り込む交渉を行うことが推奨されます。

・契約締結前に「ガス容量が不足しており、必要な増設工事が不可能な場合は契約を白紙撤回できる」旨の特約を入れる ・増設工事が必要となった場合、道路掘削や共有部使用に関する貸主側の全面的協力(承諾書の取得協力等)を契約書に明記する ・工事費用の負担区分について、建物の資産価値向上につながる本体部分の工事は貸主負担、店舗固有の二次配管は借主負担など、事前に明確に整理しておく

店舗を専門に扱う不動産会社であれば、こうした大阪特有の立地条件や過去のビルの改修履歴、近隣関係のトラブル事例などを把握しているため、交渉の段階からリスクを回避するアドバイスが可能です。単に物件を紹介するだけでなく、設備の裏側まで理解している店舗専門のパートナーを選ぶことが、安全な開業への第一歩となります。

万が一の容量不足!後から発覚した際の具体的な打開策

どれほど注意深く調査を進めていても、引き渡し後に予期せぬ理由でガス容量が不足していることが判明したり、増設工事が事実上不可能であると告げられたりするケースは皆無ではありません。そうした緊急事態に直面した場合は、計画を諦めるのではなく、迅速に代替策を検討して被害を最小限に抑える行動が必要です。

万が一の事態における現実的な打開策としては、以下のような選択肢があげられます。

  1. 厨房機器の一部を高効率な電気式(IH製品)へ転換する すべての熱源をガスに依存するのではなく、フライヤーや保温機器、予備のコンロなどを電気式に変更することで、全体のガス消費量を抑える手法です。

    IH調理器は熱効率が高く、厨房内の温度上昇を抑えられるメリットもあります。ただし、この対策をとる場合は、建物側の電気容量(アンペア数や三相200Vの動力電源の引き込み状況)に十分な余裕があるかを同時に確認する必要があります。
  2. プロパンガス(LPG)の個別バルク設置やボンベ設置を検討する 都市ガスの増設工事が道路事情などで不可能な場合、敷地内のスペースを利用してプロパンガスのボンベを個別に設置し、高火力機器専用のラインとして供給する手法です。

    ただし、大阪市内の防火地域や狭小物件では法令上の設置基準や避難経路の確保、高圧ガス保安法に基づく制限があるため、事前に消防署やガス供給業者との密接な協議が必要ですし、基本的にプロパンがダメなところも多いので、大家さんの許可が出ません。
  3. 調理プロセスとメニュー構成を再設計する 仕込み段階で真空調理や低温調理を導入したり、セントラルキッチンで一次調理を済ませた食材を店舗に持ち込んだりすることで、店舗厨房での瞬間的な最大火力使用量を減らす工夫です。
    機器の同時使用を避けるオペレーションの徹底によっても、一時的なピーク時の容量オーバーを防ぐことができます。
  4. 貸主側および仲介業者との法的・実務的な協議を行う 募集時の物件情報に「重飲食可」「十分な設備あり」と明記されていたにもかかわらず、実際には通常の中華料理すら作れないような極端な設備不足であった場合、物件の瑕疵(かし)や説明義務違反として、貸主や仲介業者に対して工事費用の大部分の負担や、免賃期間(フリーレント)の延長、あるいは契約解除と損害賠償の交渉を行う余地が生まれると僕も初めての時は思いました。

    しかし、古い物件には必ず、現況渡しという言葉が記載されているので借りるオーナーの自己責任だという旨も記載されています。
    その内容を理解しておく必要があるのと、この点も工事会社と店舗専門の不動産会社が理解しておく必要があります。

    これを外して欲しいなんて入居者が言えば、まず借りさせてもらえなくなるのでそれは注意してください。

また、ガス配管の容量問題は、知識がないまま感覚で進めてしまうと、数百万円単位の損失や開店不能という最悪の結果を招く危険なポイントです。大阪で店舗出店を成功させるためには、立地や賃料条件と同じくらい、ガス・電気・水道というインフラ設備の確認

を最優先で行う意識を持つことが不可欠です。少しでも不安や疑問を感じた場合は自己判断を避け、必ず店舗ビジネスに精通した不動産会社や信頼できる施工業者に相談しながら、確実な一歩を踏み出してください。

締め:ガスは店舗に必須だが、理解をしていない会社が多い

とりあえずお客さんが来たし良かったみたいな不動産屋は山のようにいます。
そして、借りるのはオーナーの自己責任となるのもこの不動産業界では難しい点です。

この背景を踏まえて考えられるのは、店舗専門という言葉の重みと理解を僕らもするべきだと最近思っています。
実際問題、店舗を理解していないのに店舗の仲介業をして借りたオーナーさんを困らせるというケースは多くあります。

そして、この借りる店舗次第ではオーナーさんの人生も決まってしまうので店舗専門の会社として、僕たちは厨房から内装設計、不動産様で一貫してやはり対応できるのが本当の店舗専門の会社だと最近感じます。

最後になりましたが、今後テナントで飲食や大阪で店舗を構えたいという方、困っている方がいれば弊社お問い合わせからご連絡ください。



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この記事を書いた人

株式会社土井工務店 代表取締役。元柔道日本代表。大阪を中心に、店舗専門の工事会社としての施工実績と、不動産事業「TenantAgent」を両輪で牽引。「建築の知識がない者が行う不動産取引は、お客様を大きな危険に晒す」という強い信念のもと、店舗の過酷な設備インフラ査定から、一般住宅の失敗しない物件購入・ワンストップリノベーションまで、お客様の人生の節目を圧倒的な誠実さとスピードでサポートしている。

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