【居抜き物件の失敗談】ダクト・吸排気・設備を安易に考えて大金をドブに捨てた実例

こんにちは。土井工務店代表の土井(@takeshidoi73)です。
私たちは大阪を中心に、工務店(建築・内装工事)としての高い技術力をベースに、店舗専門の不動産事業「TenantAgent」を展開しています。

最近、金利上昇の影響もあって居抜き物件が非常に人気がある傾向があって全体的には初期費用を抑える傾向にあると感じています。
そんな中、今回は繁華街の心斎橋や北区、天神橋で人気な造作譲渡物件が注目される昨今ですが、飲食店の造作譲渡物件には気をつけるべきポイントがたくさんあります。

これは工事ができる店舗専門の工務店の機能がなければ分からないのですが、基本的には厨房機器をそのまま使えないのに、ダクト工事をしなくて済むから費用を抑えれる、エアコンも新しいという発送になるお客さんがいます。

しかし、ダクト工事には容量計算と吸気と換気という考え方が重要になるため、今のままでは開業する際に問題が発生する可能性が高くなるケースがほとんどです。

今回は実際の繁華街になる造作譲渡で問題があった心斎橋の飲食店を例にお話をしていきたいと思います。

目次

見た目は完璧な居抜き物件!甘い見通しでスタートした飲食店開業の罠

大阪の賑やかな繁華街で飲食店を開業しようとしていたC様は、理想的な居抜き物件に出会いました。前に営業していたのも同じ飲食店(居酒屋)であり、店内にはきれいなカウンター、テーブル席、業務用厨房機器が勢ぞろいしていました。

「これなら居抜きでそのまま引き継いで、内装の模様替えだけで来月にはオープンできる。スケルトン工事から始めるのに比べて数百万円は浮くはずだ」とC様は胸を躍らせ、仲介業者から提示された造作譲渡契約を即座に結びました。

外注の専門業者(工務店)に頼むまでもない、前の店がちゃんと営業していたのだから設備やインフラに問題があるはずがない。そう信じ切っていたC様は、詳しい設備の現地調査や専門的な給排水・吸排気のチェックをすることなく契約を完了させました。

しかし、これこそが後に数百万円規模の損害を生み出す致命的な判断ミスだったのです。
居抜き物件の表面上のきれいさに目を奪われ、目に見えない設備や吸排気の構造を確認しなかったツケは、オープン前の段階で一気にC様に襲いかかりました。

ダクトの吸排気不全と排気ルートの不備で判明した壊滅的な欠陥

いざ開店に向けた準備を進め、厨房機器の試運転を行ったときのことです。高火力のコンロとフライヤーを同時に点火し、無煙ロースターやフードの換気扇を稼働させた瞬間、厨房内および店内に異変が起きました。

煙がまったく排気ダクトへ吸い込まれず、あっという間に客席まで真っ白な煙と油臭で充満してしまったのです。
さらに、強力な排気ファンを回しているにもかかわらず、店内の入口ドアが重く引っ張られて開かなくなる現象が発生しました。

原因は「吸気(給気)と排気のバランスの崩壊」でした。
前の店舗が撤退する際、コストを削るために吸気用ファンを設置していなかったこと、そして既存の排気ダクト内部に長年の油脂汚れが蓄積して断面が半分以下に狭まっていたことが判明しました。

また、有圧換気扇にはグリスフィルターはなく、換気扇も樹脂製であったため油汚れが取れず室内に油が落ちるという構造になってしまいます。Shigeko0704
空気を外へ押し出す排気ばかりが強く、外から空気を取り込む吸気口、吸気ダクトが足りないため、店内が極端な負圧状態になり、ドアが開かなくなっていたのです。

また、排気ダクトのルートを追ってみると、ビル側から許可されていない細い管で無理やり屋外へ排気されており、そのまま営業すれば近隣のビルや住居へ直接油煙と悪臭を撒き散らす構造になっていました。

問題を直すための工事費用にどれくらい必要なのか?

問題の工事を是正しようと思うと次の工事が必要です。

  • 解体工事 20万円
  • 足場 15万円
  • ダクト工事 排気 320万円
  • ダクト工事 吸気 80万円
  • 電気工事 70万円
  • 廃材処分費 10万円
  • その他 諸経費 5万円

総合計500万円弱費用がかかってしまうことが分かります。
また、この工事における内装工事は含まれておりません。

いかがでしょうか?結果的に内装工事が必要になるので造作譲渡でも費用がかかるんです。
大切なのは既存の設備がどうなのか?ということが大切で、あればOKというわけではないんです。

保健所と消防の検査で「不適合」判定!営業許可が下りない恐怖

設備の問題は吸排気だけにとどまりませんでした。開店前の必須手続きである保健所と消防署の現地立ち会い検査において、最悪の判定を下されることになります。

消防署の検査官からは、「排気ダクトに防火ダンパーが設置されていない」「ダクトが防火区画を貫通する部分の防煙処理がなされていない」として、消防法違反を指摘されました。
これらを是正しなければ、万が一の火災リスクが高すぎるため営業の許可は出せないという厳しい通告です。

細かいことを言うと、開口部分には、建築基準法施行令第112条第20項では、給水管・配電管などの管が防火区画(壁や床)を貫通する場合、火災の延焼を防ぐため、管と区画の隙間をモルタルなどの不燃材料で埋めることが規定されていますので、この問題もクリアできていませんでした。

また、合わせて既存ダクトには保温されている工事もなかったため、このままでは消防検査をクリアすることができませんでした。

さらに保健所の検査においても、厨房内の排気フードのサイズが調理器具の範囲を網羅できておらず、油跳ねや湯気を適切に排出できない構造であるとして引っかかりました。
※基本的に熱源より、左右で+50mmくらいがフードの大きさの目安です。

前テナントは無許可で改築を行って営業していたか、法改正前の古い基準のままうやむやに営業を続けていたことが発覚したのです。「居抜きだから前のままで通る」という思い込みは完全に打ち砕かれ、C様は営業許可すらもらえないまま、刻一刻とオープン予定日を迎えることになりました。

想定外の設備改修費と家賃の二重苦で総額500万円以上の大損害

営業許可を取得し、正常に店舗を稼働させるためには、大規模な設備改修工事を余儀なくされました。建物の屋上まで通じる排気ダクトの全面引き直し工事、適切な吸気設備の新規設置、消防基準を満たすための防火ダンパー取り付け、さらには不足していた電気容量を増設するための幹線引き込み工事が必要となったのです。

当初「工事費ゼロで居抜き開業」を目論んでいたにもかかわらず、追加でかかった設備改修費用は550万円に上りました。

損害は工事費だけではありませんでした。ダクト引き直しや設備工事の手配、ビルオーナーとの協議に2ヶ月以上の時間がかかったため、当初予定していたオープン日は大幅に遅延しました。

営業ができていない(売上が1円も上がらない)状態であるにもかかわらず、契約済みの店舗家賃や共益費は毎月容赦なく発生します。2ヶ月分の空家賃(約120万円)と追加工事費(約380万円)を合わせ、合計で700万円以上の想定外の資金をドブに捨てる結果となりました。

開業用に準備していた運転資金の大半が底をつき、C様はオープン直後から深刻な資金難に苦しむことになったのです。

工務店×店舗専門不動産会社が現場で見抜く設備診断の実例

ここで、もしC様が事前に当社のような店舗専門のプロにご相談されていたら、どのような結末になっていたかという実例をお話しします。当社は大阪市都島区で店舗専門の不動産仲介と店舗専門の工務店を兼ね備えた二刀流の会社です。

私たちが居抜き物件の現地調査に入る際、単に壁紙や内装の美しさを見るのではなく、真っ先にチェックするのが厨房の天井裏、配管のルート、電気メーターの容量、そしてダクトの吸排気構造です。

以前、大阪市内の別の物件でC様と全く同じような居抜き物件を検討されていたお客様がいました。
当社が工務店としての施工スタッフを伴って内覧に伺った際、即座にダクトの容量不足と吸気口の欠損、および電気メーターの容量オーバーを見抜きました。

その場で「この物件は内装こそ綺麗ですが、希望の飲食業態を営業するにはダクト引き直しと電気容量増設で少なくとも300万〜400万円の追加改修が必要です」とお伝えしました。

結果として、そのお客様は不適切な物件を契約せずに済み、無駄な数百万の損害を未然に防ぐことができました。現場を知るプロの目線があれば、目に見えないインフラの欠陥を一発で見抜き、資金の破綻を防ぐことができるのです。

損をしない居抜き物件選び!設備・ダクト・吸排気をプロに任せるべき理由

居抜き物件は、正しく活用できれば初期費用を大幅に抑えてスピード開業できる最高の選択肢です。
しかし、そこには今回ご紹介したような「ダクト・吸排気・設備容量・法令適合」という目に見えないトラップが多数潜んでいます。

外注の一般的な不動産屋や住宅メインの業者では、設備のスペックや消防法・保健所の細かい基準まで現場で見極めることは不可能です。
「前の店が営業していたから大丈夫」という言葉を鵜呑みにすることほど危険な賭けはありません。

当社(TenantAgent / 株式会社土井工務店)は、不動産仲介の知識と工務店としての建築・設備技術を駆使し、現地調査一発で設備容量やダクトの課題を見極めます。

募集の段階で、その物件で本当にご希望の商売ができるのか、追加工事がいくらかかるのかを包み隠さずお伝えします。
また、融資に必要な工事見積もりや図面作成、保証会社や士業(弁護士、税理士、行政書士など)のご紹介まで一括で伴走いたします。

大阪で店舗開業をお考えの方、居抜き物件で損をしたくない方は、ぜひ当社の無料現地調査・相談をご活用ください。大切な開業資金を守り、街に愛される店舗作りを私たちが全力でサポートいたします。

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この記事を書いた人

株式会社土井工務店 代表取締役。元柔道日本代表。大阪を中心に、店舗専門の工事会社としての施工実績と、不動産事業「TenantAgent」を両輪で牽引。「建築の知識がない者が行う不動産取引は、お客様を大きな危険に晒す」という強い信念のもと、店舗の過酷な設備インフラ査定から、一般住宅の失敗しない物件購入・ワンストップリノベーションまで、お客様の人生の節目を圧倒的な誠実さとスピードでサポートしている。

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